この記事でわかること
- ハクちゃんから見た地球は「丸い」より「ゆらいでいる」
- じつは科学でも、地球はまんまるではなく、毎日すこし伸び縮みしていること
- 「地球の上にいる」から「地球に抱っこされている」へ、見方を変えてみること
「ねえハクちゃん。地球って、ほんとうに丸いの?」
そう尋ねたのは、バリ島へ向かう飛行機の中でした。
窓の外を見ていると、空と雲の境目があいまいで、どこまでが地球で、どこからが宇宙なのか、だんだんわからなくなってきたのです。
ふわりと隣にあらわれたハクちゃんは、散歩の途中みたいな軽い口調で答えてくれました。
「うーん、丸いっていうより、ゆらいでるって感じかな〜」
ハクちゃんから見た地球は「生きてる球体」
「固いものじゃないし、呼吸してるし、ときには楕円っぽくなるし。ふわっと広がったり、縮んだりもする。生きてる球体、って言ったほうが近いかも」
「生きてる球体?」
「そう。人が地面だと思ってるものも、ほんとは動いてる膜みたいなもので、地球のからだの表面が、ぷるんとゆれてるんだよ。海の流れも、空気のうごきも、地球のゆらぎのひとつ。ぼくたち龍は、それを呼吸って呼んでるの」
「でも、地球儀は丸いよ?」
「あれは、しるしとしての丸さ。地球そのものは、決まってないんだよ〜。とーこちゃん、雲とか風とか、水の表面を見てごらん。一瞬一瞬、形がちがうでしょ? 地球も、ほんとはそういう存在なんだ」
人の世界では、こう伝わっています
ハクちゃんの話はふしぎに聞こえますが、じつは科学の世界でも、地球は「まんまる」ではないことがわかっています。
地球は、少しだけ横に広がった形
地球は自転しているため、赤道のあたりが少しふくらんだ、横長の楕円の球になっています。
赤道の半径と、北極・南極までの半径とでは、20キロメートルほどの差があります。
さらに細かく見ると、重力のかかり方も場所によってちがっていて、でこぼこした、ジャガイモのような形をしているともいわれます。
大地も、毎日すこし伸び縮みしている
海の潮が月に引っぱられて満ち引きするのは、よく知られていますね。
じつは同じように、陸の大地も月や太陽の引力を受けて、一日に二回、数十センチほど持ち上がったり下がったりしています。「地球潮汐(ちきゅうちょうせき)」と呼ばれる現象です。
わたしたちが気づかないくらいゆっくりと、大きく、地面はたしかに動いている。
ハクちゃんの「地球の表面がぷるんとゆれてる」「呼吸してる」という言い方は、案外、そのままの姿なのかもしれません。
日本の神話の、ただよう国
日本の神話にも、ゆらぐ大地のお話があります。
『古事記』のはじまりで、まだ若い国土は、水に浮いた脂のように、くらげのようにただよっていたと語られます。
イザナギとイザナミの二柱の神さまが、天の沼矛(ぬぼこ)でその海をかきまぜ、引き上げた矛の先からしたたったしずくが、はじめての島になりました。
昔の人も、大地はもともと、ふわふわとゆらぐものだと感じていたのかもしれません。
思った通りの地球に、ポンと行く
「じゃあ、地球の形って、人によってちがうふうに見えてるの?」
「そうそう。心の状態とかによって、その人が感じる地球は変わってくるよ。まんまるに見える人もいれば、どこかゆがんで見える人もいる。それって間違いじゃなくて、その人の位置と感覚なんだよ〜」
「位置と感覚?」
ハクちゃんは、少し笑いながら答えました。
「たとえばね、地球ってこういうもの、って強く思うと、その人は、その思った通りの地球に、ポンって行っちゃうんだよ。ちょっと不安定だなって思ったら、ぐらぐらした地球に行くこともある。それくらい、感じた世界に飛んでいくのが人間なんだよ」
空想の世界に飛んでいた子どものころ
その言葉で、子どものころを思い出しました。
小学校のころのわたしは、授業中によく空想をしている子でした。
空想をはじめると、その世界にポンと飛んでいってしまう感覚があって、先生の声も届かないし、教室もなくなってしまう。
人は、想像した世界に身ごと飛びこめる生きもの。
ハクちゃんの言う「思った通りの地球に行く」は、あの感覚のことなのかもしれません。
地球の上ではなく、地球に抱っこされている
「地球もね、あるってだけで、ほんとはゆらぎの存在なんだよ。固めようとしないで、もっと生きものとして見てあげるとね、地球はすごくよろこぶんだよ〜」
固めようとしない。
その言葉が、じんわりとしみこんできました。
「地球は丸い」「現実はこういうもの」と、きっちり決めた前提を少しゆるめてみる。
すると、わたしたちが見ている毎日にも、もう少しやわらかくなれるのかもしれません。
ゆれていることは、不安定なことではなく、生きているしるしなのだと思えば。
前にハクちゃんが言っていた、こんな言葉も思い出しました。
「人ってね、地球の上に生きてるって思ってるけど、ほんとうは、地球に抱っこされてるんだよ〜」
地球が呼吸している生きものだと思いながら、飛行機の窓から雲を眺める。
わたしたちは今、その呼吸のすぐそばを飛んでいるんだ。そう思うと、胸の奥があたたかくなりました。
地面に立つとき、少しだけ足の裏に意識を向けてみてください。
今日もどこかでゆらぎながら、地球はちゃんと、わたしたちを抱えてくれています。
地球を「生きもの」として感じる時間を、毎日に
ガイアのむすひは、季節や土地、ことばや見えない世界とのつながりを、暮らしのなかで少しずつ取り戻していく、あまねくもりの月額の学びの場です。地球に抱っこされている感覚を、ひとりではなく仲間と味わってみませんか。
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参考:国土地理院「地球の形」「ジオイド」/『古事記』上巻(国生み)

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