この記事でわかること
- 東洋の「五行」で、黒・冬・腎がひとつのグループになっている理由
- 腎に宿る神様「玄冥(げんめい)」と、その名前に込められた「黒」
- 道教の書物にも登場する黒ごまの話と、毎日の「ひとくち」の楽しみ方
スーパーで黒ごまや黒豆を見ると、なんとなく「体によさそう」と感じませんか。
でも、なぜ緑の野菜でも、カラフルな果物でもなく、「黒」なのでしょう。
東洋の考え方には、ちゃんとした理由づけがあります。
そしてその奥には、からだの神様のお話も隠れています。
※この記事は、道教や東洋の養生の考え方を紹介する読みものです。医療の代わりではありません。からだの不調があるときは、医療機関に相談してください。
五行でいう「黒」と「腎」
世界を5つのグループで見る
東洋の考え方には「五行(ごぎょう)」という見方があります。
世の中のものを、木・火・土・金・水の5つのグループに分けて、つながりを見るものです。
| 五行 | 五臓 | 色 | 季節 | 味 |
|---|---|---|---|---|
| 木 | 肝 | 青 | 春 | 酸(すっぱい) |
| 火 | 心 | 赤 | 夏 | 苦(にがい) |
| 土 | 脾 | 黄 | 土用 | 甘(あまい) |
| 金 | 肺 | 白 | 秋 | 辛(からい) |
| 水 | 腎 | 黒 | 冬 | 鹹(しおからい) |
黒い食べものは、「水」のグループ。
そして同じグループに、腎と冬が入っています。
12月に黒い食材の話をするのは、そのためです。
腎は、生まれ持った力の貯蔵庫
東洋の考え方でいう「腎」は、生まれ持った力をたくわえる場所とされます。
骨や耳、髪、そして年齢の重ね方とも関係が深いと考えられてきました。

冬は、動物たちが巣にこもって力をたくわえる季節。
腎も同じように、冬には「使う」より「たくわえる」ことが大切にされてきました。
腎の神様「玄冥」と、黒のひみつ
名前そのものが「黒」
道教の経典『黄庭経(こうていきょう)』では、腎に宿る神様を「玄冥(げんめい)」と呼びます。 → あなたの五臓六腑には、あなたを1秒も休まず生かそうとする神様たちが宿っている
「玄」は、黒。それも、奥行きのある深い黒です。
「冥」は、暗くて静かなもの。
腎の神様の名前には、はじめから「黒」が入っているのです。
もうひとつの呼び名は「育嬰(いくえい)」。
赤ちゃんを育てる方、という意味です。
いのちの力をたくわえ、次のいのちへつないでいく。
深い黒の中で、静かにいのちを育てている神様。
そんな姿が浮かんできませんか。
道教の書物に出てくる黒ごま
黒い食材の代表、黒ごま。
実は道教の書物にも登場します。
4世紀の道教の書物『抱朴子(ほうぼくし)』には、いのちを養うとされた草木や食べものが並んでいます。
その中に「巨勝(きょしょう)」という名前で、黒ごまが出てきます。
昔の人が、小さな黒い粒に、大きないのちの力を感じていたことが伝わってきます。
もちろん、これは昔の人の考え方を紹介するもので、黒ごまに特別な効き目がある、という話ではありません。
あまねくもりの読み解き:黒い食べものは、玄冥さんへの差し入れ
同じ色のものを、同じ色の神様へ
あまねくもりでは、黒い食べものを「腎の部屋にいてくださる玄冥さんへの差し入れ」と読み解いています。

深い黒の名前を持つ神様に、同じ黒い色の食べものを届ける。
冬のあいだ、力をたくわえようとしている神様に、「おつかれさま」と差し入れをする。
そう思うと、いつもの黒ごまひとふりが、ちょっと特別なものに感じられます。
毎日の「ひとくち」
特別な料理はいりません。いつものごはんに、ひとくち足すだけです。
- ごはんやおひたしに、黒ごまをひとふり
- 黒豆茶を、温かくして一杯
- 味噌汁に、ひじきやわかめを少し
- 炒めものに、きくらげを足す
食べるときに「玄冥さん、どうぞ」と心の中で言ってみる。
それだけで、いつもの食事が、からだの神様へのあいさつになります。
五行は、五つの神様へのおもてなしできる智慧
上の表をもう一度見てください。
黒は腎、赤は心、白は肺、青は肝、黄は脾。
五つの色は、五臓の神様たちそれぞれの色でもあります。
だから、あまねくもりでは五行の表を「五つの神様へのおもてなし」に使っています。
冬は黒を少し多めに。
でも、ほかの色の神様たちも忘れずに。
食卓に五つの色がそろうと、お城の神様たちみんなにごちそうが行きわたります。
食べものは、薬ではない
念のため書いておくと、黒い食べものが病気を治すわけではありません。
東洋の知恵は、毎日の暮らしの中で、からだをいたわる目安のひとつです。
バランスよく、おいしく食べることがいちばんです。
そのうえで、ひとくちに少しだけ毎日に加える。
深い黒の中で、あなたのいのちの力をたくわえてくださっている玄冥さん。
この冬は、その神様のことを、ときどき思い出してみてください。
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参考:『黄庭内景経』心神章、『抱朴子』内篇 仙薬篇(巨勝)、五行の対応は『黄帝内経』による。

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