タオの智慧

【不調の捉え方】病気や痛みは、体内の神様があなたと「お話ししたい」ときに出すサイン

この記事でわかること

  • 治療とは別に持っておきたい、不調との「向き合い方」という視点
  • 『荘子』に描かれた、からだの変化をおもしろがった人の物語
  • 不調を、からだの神様たちが「お話ししたい」と戸をたたく音として受けとめる見方

朝起きたときの頭の重さ。
季節の変わり目のだるさ。
年を重ねて気になりだした、あちこちの不調。

不調が出ると、私たちはついそれを「敵」のように見てしまいます。
「早く消さなきゃ」
「どうして私ばかり」

この連載では、からだの中には名前のある神様たちがいてくださる、という道教の考え方を紹介してきました。 → あなたの身体は、神様たちが暮らすお城。「身神(しんしん)」が居心地のいいお部屋の作り方 もしそうだとしたら、不調というのは、だれからのどんなメッセージなのでしょう。
今日は、不調の「見方」を少しだけ変えてみるお話です。

※この記事は、道教や東洋の考え方を紹介する読みものです。医療の代わりではありません。からだの不調があるときは、医療機関に相談してください。

まずお伝えしたいこと:治療と向き合い方は別のもの

病院に行かなくていい、という話ではありません

最初にお伝えしておきたいことがあります。
この記事は、病院に行かなくていいという話ではありません。

症状には、医療で向き合う。
それと並行して、心の中で不調をどう受けとめるかを考える。
この記事で扱うのは、あとのほうです。

「受けとめ方」で、毎日の過ごし方は変わる

同じ不調でも、「敵が攻めてきた」と思うのと、「何か伝えたいことがあるのかな」と思うのとでは、一日の過ごし方がずいぶん変わります。

敵だと思うと、戦うことになります。
戦うと、からだにも心にも力が入ります。
メッセージだと思うと、耳を澄ますことになります。
耳を澄ますとき、人は少しだけ静かになれます。

『荘子』に描かれた、からだの変化をおもしろがる人

子輿(しよ)の物語

道教の源流のひとつ『荘子(そうじ)』の「大宗師(だいそうし)」という篇に、子輿という人の物語があります。

あるとき、子輿は病にかかり、からだの形が大きく変わってしまいました。
友人がお見舞いに行くと、子輿は井戸の水に自分の姿を映して、こう言ったそうです。

「すごいなあ、造化(ぞうか)は。私をこんなふうに作り変えているよ」

造化とは、天地の万物を生み出し、変化させていく大きなはたらきのこと。
子輿は、自分のからだに起きている変化を、天地のはたらきとして眺めていたのです。

「左腕がにわとりになったら、時を告げてもらおう」

友人が「いやではないのか」とたずねると、子輿は笑ってこう答えます。

「いやなものか。もし私の左腕がにわとりに変わったら、それで夜明けの時を告げてもらおう。右腕が弓の玉に変わったら、それで鳥でも捕ろう」

もちろん、これはたとえ話です。
でも、変わっていくからだを嘆くのではなく、「では、この形で何ができるだろう」とおもしろがる。
2千年以上前の物語に、こんなにのびやかなまなざしがあることに、私はいつも励まされます。

からだは、天地から預かったもの

『荘子』には、からだは天地から預かった形だ、という言葉もあります。 → 【東洋の身体論】自分の体を「自分の所有物」だと思っていませんか? 預かりものなら、思いどおりにならないこともある。
変わっていくのも、天地のはたらきのうち。
子輿の笑いは、そんな見方から生まれているのだと思います。

あまねくもりの読み解き:不調は、神様が戸をたたく音

お城の神様たちは、城主と話したがっている

あまねくもりでは、からだを「神様たちが暮らすお城」と見ています。
私が学んだ護符の系譜では、からだに宿り、いのちを支える神々を「九霊神」と呼んでいます。

この見方に立つと、不調は「からだの神様が、城主の部屋の戸をトントンとたたいている音」のように感じられます。
「ちょっと立ち止まって、こっちを見てほしい」
「最近、ここをあまり気にかけてもらえていないよ」
そんな合図です。

戸の向こうにいるのは、どの神様?

戸をたたく神様にも、名前があります。

目が疲れているなら、目の神様「明上(めいじょう)」さん。
眠りが浅いなら、心の神様「丹元(たんげん)」さん。
食べものがおいしくないなら、脾の神様「常在(じょうざい)」さん。
息が浅いなら、肺の神様「皓華(こうか)」さん。

これは診断ではなく、あくまで「どの神様が声をかけているのかな」と想像してみる遊びのようなものです。
でも、名前があると、不調は「正体のわからない敵」ではなく、「顔の見える相手」に変わります。
神様たちの名前は、こちらで紹介しています。 → あなたの身体は、神様たちが暮らすお城。「身神(しんしん)」が居心地のいいお部屋の作り方、あなたの五臓六腑には、あなたを1秒も休まず生かそうとする神様たちが宿っている

「内聴(ないちょう)」の時間

不調を感じたときに、こんな時間をとってみてください。

  1. 静かに座るか、横になります。
  2. 気になる場所の神様の名前を、心の中で呼びます。名前がわからなければ「そこにいてくださる神様」で大丈夫です。
  3. 「教えてくれてありがとう。何を伝えたいの?」とたずねます。
  4. 何か浮かんだら、そのまま受け取ります。何も浮かばなくてもかまいません。

答えを出す時間ではありません。
戸をたたく音に、「はい、聞こえていますよ」と返事をする時間です。

変わっていくからだと、一緒に歩く

子輿は、変わっていくからだを嘆かず、おもしろがりました。
あまねくもりでは、もう一歩だけ足して、こう考えています。

変わっていくからだの中にも、神様たちはいてくださる。
形が変わっても、調子が揺らいでも、お城を出て行ってしまうわけではない。
戸をたたくのは、まだそこにいて、あなたと話したいからです。

不調を敵として追い出そうとするより、戸を開けて「どうしたの?」と聞いてみる。
そのほうが、からだと一緒に歩いていける気がしています。

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参考:『荘子』大宗師篇(子輿の物語)・知北遊篇、『黄庭内景経』。物語の訳は、あまねくもりによるやさしい言い換えです。

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