タオの智慧

【感情と五臓】家系的な不安を「ご先祖様からのメッセージ」として読み解くタオの智慧

この記事でわかること

  • 東洋の「五志(ごし)」と、気持ちが五臓の神様たちに響くという考え方
  • 道教の古い経典にある、先祖から受け継ぐものを指す言葉「承負(しょうふ)」
  • 家族から受け継いだ傾向を、怖れではなく「申し送り」として受けとる見方

イライラした日の夕方、なんだか胃が重い。
心配ごとが続くと、食欲が落ちる。
怖いことがあると、足がすくむ。

気持ちとからだは、つながっている。
それは多くの人が、なんとなく感じていることだと思います。

そして、もうひとつ。
「うちの家系は、みんなここが弱いからな・・・」
そんなふうに、家族から受け継いだものが、うっすら気になっている人もいるかもしれません。

今回は、気持ちと五臓の神様たちのお話、そして家族から受け継いだものとのつき合い方のお話です。

※この記事は、道教や東洋の考え方を紹介する読みものです。医療の代わりではありません。からだの不調や体質について気になることがあるときは、医療機関に相談してください。

気持ちは、五臓の神様たちに響く

東洋の「五志」

東洋の古い医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』には、気持ちが過ぎると、それぞれ特定の五臓に響くという考え方があります。
これを「五志(ごし)」と呼びます。

気持ち(過ぎたとき)響くとされる五臓そこにいてくださる神様
怒り肝龍煙(りゅうえん)
喜び(はしゃぎすぎ)心丹元(たんげん)
思い悩み脾常在(じょうざい)
悲しみ・憂い肺皓華(こうか)
恐れ・不安腎玄冥(げんめい)

喜びまで入っているのがおもしろいところです。
どの気持ちも悪いのではなく、「過ぎる」とからだに負担がかかる、という見方です。
五臓の神様たちの名前は、こちらで書いています。 → あなたの五臓六腑には、あなたを1秒も休まず生かそうとする神様たちが宿っている

気持ちは、お城のどの部屋を揺らしている?

あまねくもりでは、からだを「神様たちが暮らすお城」と見ています。
→ あなたの身体は、神様たちが暮らすお城。「身神(しんしん)」が居心地のいいお部屋の作り方
この見方で五志を読むと、気持ちは「お城のどこかの部屋を揺らす風」のようなものです。

怒りの風が吹けば、肝の部屋の龍煙さんが、がたがたと揺れる窓を押さえている。
不安の風が吹けば、腎の部屋の玄冥さんが、たくわえを守ろうと身を屈めている。


そんな情景を思い浮かべると、気持ちを「悪いもの」として押し込めるのではなく、「今、こういう風が吹いてるな」と眺められるようになります。

家族から受け継ぐものを、道教はどう見たか

古い経典の言葉「承負(しょうふ)」

道教のごく初期の経典『太平経(たいへいきょう)』には、「承負(しょうふ)」という言葉が出てきます。

先に生きた人たちが抱えていたものを、後の世代が「承け(うけ)」て「負う(おう)」。
つまり、家族や祖先から、良いものも、重たいものも、ひっくるめて受け継いでいる、という考え方です。

2千年近く前の人たちも、「どうして私が、これを抱えているのだろう」という問いを、ちゃんと考えていたのです。

受け継いだものは、自分の代で整えていける

大切なのは、この考え方が「だからあきらめなさい」という話ではないことです。

『太平経』はむしろ、今を生きる人が、自分の暮らし方や心の持ち方を整えることで、受け継いだ重さを解いていけると説いています。
受け継いだものは、運命ではなく、自分の代で手を入れられるもの。
そう受けとると、古い経典の言葉が、急にやさしく感じられませんか。

あまねくもりの読み解き:家系の傾向は、先に生きた人たちからの申し送り

まずは医療で確かめる。そのうえでの「受けとめ方」

体質や病気の傾向については、まず医療で確かめるのがいちばんです。
そのうえで、心の受けとめ方として、あまねくもりではこんな見方もしています。

家族に出やすい傾向は、怖がるためのものではなく、「ここを大事にしてね」という、先に生きた人たちからの申し送りかもしれない。


先祖たちが、つい抱え込みがちだった気持ちがあって、それがどの部屋を揺らしやすかったか。
五志の表は、それを想像する手がかりになります。

これは事実の説明ではなく、不安とのつき合い方のひとつの提案です。

天生神は、どの代のいのちも組み立ててきた

シリーズ第1回で、お腹の中の十か月を九つの天の神々が見守る、という経典のお話をしました。 → 私たちが「とつき(十月)」をかけて生まれてきた理由。胎内で始まる10の愛のステップ あまねくもりでは、この神々を「天生神」と呼んでいます。

あなたの親も、その親も、さらにその前の人たちも。
みんな同じように、天生神に十か月かけて組み立てられ、生まれてきた。
家系とは、天生神のいとなみが何度もくり返されてきた、いのちの列でもあるのです。


受け継いだのは、弱いところだけではありません。
何代ものあいだ、天の神々に見守られてきたということも、一緒に受け継いでいる。
そう思えたら、家系へのまなざしが、少しやわらぐかもしれません。

気持ちに気づいたら、その部屋の神様に声をかける

メッセージを受け取ったら、今の自分にできることがあります。

  1. 「今、怒ってるな」「不安だな」と気づく。
  2. 表を見て、その気持ちが響くとされる部屋の神様を思い浮かべる。
  3. 「龍煙さん、揺らしちゃってごめんね」「玄冥さん、大丈夫だよ」と、心の中で声をかける。

気持ちを消そうとしなくて大丈夫です。
気づいて、その部屋にいてくださる神様にひと言かける。
先祖たちが抱え込んできたかもしれない気持ちを、あなたの代で、少しずつほどいていく。
それが、あまねくもりの考える「体から読み解くご先祖様からのメッセージの受け取り方」です。

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参考:『黄帝内経素問』陰陽應象大論(五志)、『太平経』(承負説)、『黄庭内景経』。家系の申し送りという見方は、あまねくもりの読み解きです。

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