この記事でわかること
- 眠っていても続く呼吸を、道教はどう見てきたか
- 胎内の赤ちゃんのように息をする、道教の「胎息(たいそく)」の考え方
- 「している」から「させてもらっている」へ、ひとりじゃないと感じるための見方
「結局、私ってひとりなんだな」
ふと、そんな気持ちになる夜はありませんか。
そんなときに、ひとつ考えてみてほしいことがあります。
私たちは、仕事中も、スマホを見ているときも、ぐっすり眠っているときも、息をしています。
心臓も動いています。
自分で「動け」と命令した覚えは、一度もないのに。
これ、だれが動かしてくれているんでしょう。
※この記事は、道教の考え方を紹介する読みものです。医療の代わりではありません。心やからだの不調が続くときは、医療機関に相談してください。
だれが、息を続けてくれているのか
からだのしくみとしては
からだのしくみとしては、自律神経が、意識しなくても呼吸や心臓を動かしてくれています。
これはこれで、すごいことです。
だれにも教わらず、生まれた瞬間から、一度も休まずに続いている。
道教の見方では
道教では、この「勝手に続いているもの」に、もうひとつの説明を重ねてきました。
シリーズでご紹介してきたように、いのちは九つの天の神々、あまねくもりでいう「天生神」から、ひと月ずつ気を受け取って組み立てられていきます。 → 【目覚めの胎内記憶】母親のお腹の中で、私たちが宇宙から受け取っていた「9つの光」 そして十か月目、気が満ちて生まれる。
生まれたあとは、からだのあちこちに神様たちがいてくださる。 → あなたの身体は、神様たちが暮らすお城。「身神(しんしん)」が居心地のいいお部屋の作り方 私が学んだ護符の系譜では、この神々を「九霊神」と呼んでいます。
肺には皓華(こうか)さん、心には丹元(たんげん)さん。 → あなたの五臓六腑には、あなたを1秒も休まず生かそうとする神様たちが宿っている
眠っているあいだも息が続くのは、城主が眠っているあいだも、お城の神様たちが寝ずの番をしてくださっているから。
道教の世界では、そんなふうに受けとることができます。
道教の「胎息」――お腹の中のように息をする
鼻と口を使わずにいた、あのころ
お腹の中にいたころ、私たちは鼻も口も使わずに生きていました。
必要なものは、おへその緒を通して、お母さんから届けられていた。 → 顔の「7つの穴」と、からだに隠れた「10番目の門」のミステリー
道教には、この胎内のいのちのような呼吸を目指す「胎息(たいそく)」という養生法が伝わっています。
4世紀の道教の書物『抱朴子(ほうぼくし)』には、胎息を身につけた人は、鼻や口で荒く息をしなくなり、まるで胎内にいるようになる、と書かれています。
ここで大事なのは、息を止めることではありません。
今の私たちがまねするものでもありません。
もともとのいのちは、がんばって呼吸をしていたのではなく、届けられるものを、ただ受け取っていた。
昔の人は、その「受け取っているだけで生きられていたころ」を、いのちの理想の姿として見ていたのです。
「真人の息は、かかとでする」
道教の源流『荘子』にも、呼吸についての不思議な一文があります。
「真人(しんじん)の息はかかとでし、ふつうの人の息はのどでする」
もちろん、本当にかかとで呼吸するわけではありません。
それだけ深く、からだ全体で、ゆったりと息をしている、というたとえです。
せかせかとのどで息をするのではなく、大地に支えられながら、息をさせてもらう。
そんな姿が浮かんできます。
あまねくもりの読み解き:生まれる前に開通した、天との回線
回線は、今も切れていない
あまねくもりでは、十か月かけて天生神から気を受け取ったことを、「天とつながる回線が、生まれる前に開通した」と読み解いています。
生まれたあとも、その回線は切れていない。
呼吸が勝手に続いているのは、そのしるしのひとつ。
そしてからだの中では、九霊神たちが、24時間、その回線を守ってくださっている。
そう見ると、眠っているあいだも、ひとりぼっちではなかったことになります。
「結局ひとり」と感じる夜にも、あなたの息は、ちゃんと続いている。
それは、だれかがそばにいてくれている、いちばん確かな証拠なのかもしれません。
「している」から「させてもらっている」へ
今夜、布団に入ったら、呼吸を感じてみてください。
- 自分で呼吸を「しよう」としないで、ただ見ている。
- 吸って、吐いて、が勝手に続いていくのを感じる。
- 「皓華さん、息をさせてくれてありがとう」と思ってみる。
がんばって生きている、から、生きさせてもらっている、へ。
お腹の中で、ただ受け取っていたころのように。
ほんの少し、肩の力が抜けるかもしれません。
あなたが眠っているあいだも、天との回線はつながったまま。
今夜も、神様たちが寝ずの番をしてくださいます。
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参考:『抱朴子』内篇 釈滞篇(胎息)、『荘子』大宗師篇(真人之息以踵)、『洞玄霊宝自然九天生神章経』。胎息は修行法として紹介しているもので、息を止めることを勧めるものではありません。

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