この記事でわかること
- 皆既月食の夜、月に映っているのは「わたしたちの星」だということ
- 月食の月が赤く見える、ちょっとすてきな理由
- 月食の夜を、自分の祈りを読み返す時間にする見方
皆既月食の夜。
わたしは庭に出て、月が欠けはじめるのを待っていました。
「ハクちゃん、もうすぐ皆既月食だね」
そばにいたハクちゃんは、空を見上げて、しっぽをふわりとゆらしました。
「うん。月食の夜ってね、ぼく、けっこう好きなんだ。だって、月がとーこちゃんたちのこと映してくれる夜だから」
「わたしたちを、映す?」
月食は、月が「地球の影」を映す夜
「月食のときって、月が地球の影のなかに入るでしょ?」
「うん、太陽と地球と月が、一直線に並ぶんだよね」
「そう。いつもの月は、太陽の光を返して、夜を照らしてくれてる。でも月食のあいだだけは、太陽の光じゃなくて、とーこちゃんたちが住んでる星の影を映してるんだよ。だから、月食の月を見るってことは、ちょっとだけ、自分たちの星を外から眺めてるのと同じなんだ」
言われてみれば、そのとおりです。
欠けていく月の、あの丸い影のふち。あれは、わたしたちが今立っている地球のかたちそのものです。
2,300年ほど前、古代ギリシャのアリストテレスも、月食の影のふちがいつも丸いことを、地球が丸い証拠のひとつにあげています。
久しぶりの思い出と、涙
「ハクちゃん、わたし今日、ちょっと落ち着かなかったんだよね」
じつはその日、びっくりするくらい久しぶりの思い出がふいに浮かんできて、ぽろぽろと涙を流してしまったのでした。
でも、それも今必要なタイミングだったのだと、不思議なくらい、すとんと納得できていました。
「そういう日もあるよ〜。いつもとちがう月の夜は、気持ちのほうも、いつもとちがう引き出しが開くんだよ。しまったままだったものが、ひょこっと出てくる」
「出てきたら、どうしたらいいの?」
「どうもしなくていいよ。あ、これ、まだここにあったんだって、見てあげるだけで十分。月食の夜は、あれこれ動くより、静かにしてるくらいがちょうどいいんだ」
人の世界では、こう伝わっています
月食の月が、赤く見えるわけ
皆既月食のとき、月はまっ暗に消えるのではなく、赤銅色にぼんやりと光って見えます。
これは、地球の大気を通りぬけた太陽の光が、少しだけ曲がって月まで届いているからです。
大気を通るあいだに青い光は散らばり、赤い光が残ります。夕焼けが赤いのと同じしくみです。
つまり、皆既月食の月を照らしているのは、そのとき地球のふちで起きている、世界じゅうの朝焼けと夕焼けの光。
どこかで今日がはじまり、どこかで今日が終わっていく。その光がぜんぶ集まって、月をそっと照らしているのです。
ハクちゃんの言う「月がわたしたちを映してくれる」は、たとえ話ではなく、ほんとうにそのとおりのことだったのですね。
「最近、なにを祈った?」
月がすっかり赤くなったころ、ハクちゃんがふいに聞いてきました。
「ねえ、とーこちゃん。最近、手を合わせたとき、なにを祈った?」
少し考えて、答えました。
「やっぱり、家族と、この日本の土地を守ってください、かな」
「そっか。じゃあ今夜は、その守ってくださいって言ってる自分を、ちょっと見てみてごらん。月が地球を映してるみたいにね」
祈りを読み返してみたら
言われたとおり、赤い月を見上げながら、自分の祈りをゆっくり読み返してみました。
家族を守ってください。この土地を守ってください。
そう祈っているわたし自身も、その家族のひとりで、この土地に暮らしているひとりです。
月に映る地球の影のなかには、わたしの家も、庭も、家族も、ちゃんと入っている。
そう思ったとき、祈りの向きが、少し変わった気がしました。
「守ってください」とお願いするだけでなく、わたしも、この家族とこの土地を守るひとりでいよう。
お願いしていた祈りが、自分の約束にもなったのです。
「ね、映すとよく見えるでしょ」
ハクちゃんは、それだけ言って、赤い月のほうへすーっと泳いでいきました。
月食の夜は、祈りを読み返す夜
月食というと、なにか特別な願いごとをしたくなるかもしれません。
でも、月が地球を映してくれる夜は、願いを新しく足すよりも、ふだんの祈りを読み返すのにぴったりの夜なのだと思います。
いつも、なにを祈っているか。
だれのために祈っているか。
その祈りのなかに、自分はどこにいるか。
読み返してみると、祈りは、お願いから約束へと、少しだけ深くなります。
そうやって深まった祈りをもって、また来る明日を迎える。
そんな人が少しずつ増えていけば、世界はきっと、今よりちょっとやさしくなるはずです。
次に月食がめぐってきたら、ぜひ空を見上げてみてください。
赤い月に映っているのは、あなたが暮らしているこの星です。
月のめぐりに合わせて、自分を見つめなおす時間を
巡りレイキは、毎月ひとつのテーマに合わせてレイキを受け取る、月に一度のライブの時間です。月食のような特別な夜でなくても、ひと月に一度、自分の祈りや気持ちを静かに読み返す時間をもってみませんか。
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参考:国立天文台「月食」

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